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おいしい瞬間 

2009.11.06


   ある朝台所に立っていると、不気味なにぶい低音がどこからか聞こえて、私は料理する手を

   止めた。 じっと耳をすませていると案の定、目の前の網戸越しに大きなスズメバチが現れて、

   攻撃的な羽音をたてながらじっとこちらをにらんでいる。

   私は包丁を置き、急いで「ハチアブマグナムジェット」を取りに行き、調理道具をそろそろと別の

   場所に避難させ、息を止めて黄色いグリップをひいてジェット噴射をお見舞いする。 そしてハチが

   視界から消えたのを確認し、ふぅとひと息ついて全てを元にあった場所にもどしてから、作業を再開

   しはじめてようやく、

   「あー、さっきのおいしかったなぁ!撮っとけばよかったー!」

   と気付くのだ。 スズメバチのアップなんてそうそうお目にかかれない。 気付くの、遅すぎ。


交差点

     
   ついこの間まで写真を撮ることに全く興味がなく、自分のカメラを手に入れたのもたかだか一か月前だ。

   反射的にカメラを持つほど生活の中に溶け込んでいないだからだろう、 きっと気付かないうちに

   おいしい瞬間をたくさんのがしているだろう。 それでも、そんなもん出会いだしと思っている。

   そんな無頓着な私でも、過去に一度だけ、あの時カメラを持っていればと思うシーンがある。


   場所は札幌、地下鉄東西線の円山公園駅ホームで、私はいつものように通勤電車を待っていた。

   朝早い時間で人も少なく、電車はなかなかやってこない。 私の5mほど右、静まり返ったホームの

   壁際には家族と思われる外国人5人のグループがいた。 手荷物もなくみんな身軽だ。

   しばらくすると金色の髪をした5歳くらいの男の子がひとり塊を抜けてホームの線路際ギリギリに

   歩み寄り、ほんの少し身を乗り出し、小首をかしげて電車がすべりこんでくるであろう右方向の

   トンネルをのぞきこんだ。


バス停

 
   やんちゃ坊主が暇を持て余したんだなーと思っていると、彼の姉らしき少女も塊を抜けて、

   少し間をあけて弟の隣に並び、同じように小首をかしげて右方向をのぞきこんだ。 

   すると、背後で二人を見守っていた母親らしき女性も子供たちの好奇心に誘われたように

   彼らの隣に並び、 次になんだなんだというように父親も続き、とうとう最後に残った祖母らしき

   腰の大きな女性もおっくうそうに前に進んで小首をかしげ、ラストを決めた。

   金色の頭が順序正しく、ほぼ同じ間隔をあけて並び、同じポーズをとっている。

   それはまるで映画のワンシーンのようにできすぎていた。 

   少し笑えて、そして何故か少し哀しい感じ。

   この画をモノクロで、すこしだけ上の位置から、そう、気付かれないようにこっそりとホームに続く

   階段を2、3段上って斜めうしろから撮りたかった。

   なぜこんな瞬間がいつまでたっても心に残っているのか、さっぱりわからない。

   ただひとつ言えるのは、もしその瞬間を撮れていれば、こんなだらだらの説明なしに

   言葉にできない何かを誰かに一瞬で伝えられたかもしれない、ということだけである。



   

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愛媛生まれ
大阪→サンフランシスコ→東京→札幌→東京、2008年秋から岩手→2013年春、第二の故郷へ

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