風のいちにち

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静かに強く 

2011.09.22

     
110922
      

     7月のある日曜日、私の住む小さな町の小さなカフェに集まったほんの十数人を相手に

     控え目に話をしてくださった福島出身のその女性は、 9月19日、6万人もの人達の前で

     スピーチをしていた。 あの日と同じく控え目に、そして静かに強く。  武藤類子さん。  

               ※ クリックすると音声も再生されます。 ボリューム注意
     





               以下、書き起こし


     ============================================================



         福島の皆さん、どうぞ一緒に立ち上がってください。

         みなさんこんにちは。福島からまいりました。
         今日は福島県内から、それから避難先から、何台もバスを連ねて、
         たくさんの仲間と一緒にやってまいりました。

         初めて集会やデモに参加する人もたくさんいます。
         それでも福島原発で起きた悲しみを伝えよう。
         私達こそが原発いらないの声をあげようと、声を掛け合い誘い合ってやってきました。


         はじめに、申し上げたいことがあります。
         3.11からの大変な毎日を、命を守るためにあらゆることに取り組んできたみなさん、
         ひとりひとりを、深く尊敬いたします。
         それから福島県民に温かい手を差し伸べ、繋がり、様々な支援をしてくださった方々に
         お礼を申し上げます。ありがとうございます。

         そしてこの事故によって、大きな荷物を背負わせることになってしまった子供達、
         若い人々に、このような現実を作ってしまった世代として、心から謝りたいと思います。
         本当にごめんなさい。


         さてみなさん、福島はとても美しいところです。 
         東に紺碧の太平洋を望む浜通り、桃、梨、林檎と果物の宝庫の中通り、
         猪苗代湖と磐梯山のまわりに黄金色の稲穂が垂れる会津平野、
         そのむこうを深い山々が縁取っています。
         山は青く、水は清らかな、私達のふるさとです。

         3.11原発事故を境に、その風景に目には見えない放射能が降り注ぎ、
         私達は被曝者となりました。

         大混乱の中で、私達には様々なことが起こりました。
         素早く張り巡らされた安全キャンペーンと不安の間で、引き裂かれてゆく
         人と人との繋がり。
         地域で、職場で、学校で、家庭の中で、どれだけの人が悩み悲しんだことでしょう。
         毎日毎日、否応なく迫られる決断。
         逃げる、逃げない。
         食べる、食べない。
         子供にマスクをさせる、させない。
         洗濯物を外に干す、干さない。
         畑を耕す、耕さない。
         なにかに物申す、黙る。
         様々な苦渋の選択がありました。


         そして今、半年という月日の中で、次第に鮮明になってきたことは、
         事実は隠されるのだ。
         国は国民を守らないのだ。
         事故は未だに終わらないのだ。
         福島県民は、核の実験材料にされるのだ。
         莫大な放射能のゴミは残るのだ。
         大きな犠牲の上になお、原発を推進しようとする勢力があるのだ。
         私達は捨てられたのだ。


         私達は疲れと、やりきれない悲しみに、深いため息をつきます。
         でも、口をついてくる言葉は、
         「私達をバカにするな」
         「私達の命を奪うな」です。


         福島県民は今、怒りと悲しみの中から静かに立ち上がっています。
         子供達を守ろうと、母親が父親が、おじいちゃんがおばあちゃんが、
         自分達の未来を奪われまいと若い世代が、
         大量の被曝に晒されながら、事故処理に携わる原発従業者を助けようと労働者達が、
         土地を汚された絶望の中から農民が、
         放射能による新たな差別と分断を生むまいと障がいをもった人々が、
         一人ひとりの市民が、国と東電の責任を問い続けています。
         そして、原発はもういらないと声を上げています。


         私達は静かに怒りを燃やす、東北の鬼です。
 
         私達福島県民は、故郷を離れるものも、福島の土地に留まり生きるものも、
         苦悩と責任と希望を分かち合い、支えあって生きていこうと思っています。

         私達と繋がってください。
         私達が起こしているアクションに注目してください。

         政府交渉、疎開裁判、避難、保養、除染、測定、原発放射能についての学び、
         そしてどこにでも出かけ福島を語ります。
         今日は遠くニューヨークでスピーチをしている仲間もいます。
         思いつく限りのあらゆることに取り組んでいます。
         私達を助けてください。
         どうか、福島を忘れないで下さい。


         もうひとつ、お話したいことがあります。
         それは私たち自身の生き方、暮らし方です。

         私達は何気なく差し込むコンセントの向こう側を想像しなければなりません。

         便利さや発展が、差別と犠牲の上に成り立っていることに、
         思いを馳せなければなりません。
         原発は、その向こうにあるのです。


         人類は地球に生きるただ一種類の生きものにすぎません。
         自らの種族の未来を奪う生きものが、他にいるでしょうか。
         私はこの地球という美しい星と調和した、まっとうな生きものとして生きたいです。
         ささやかでもエネルギーを大事に使い、工夫に満ちた、
         豊かで創造的な暮らしを紡いでいきたいです。
         どうしたら、原発と対極にある新しい世界を作っていけるのか、
         誰にも明確な答えはわかりません。


         できることは誰かが決めたことに従うのではなく、
         一人ひとりが、ほんとうにほんとうに、本気で自分の頭で考え、
         確かに目を見開き、自分が出来ることを決断し、行動することだと思うのです。

         一人ひとりにその力があることを思い出しましょう。
         私達は誰でも変わる勇気を持っています。
         奪われてきた自信を取り戻しましょう。

         原発をなお進めようとする力が、垂直にそびえる壁ならば、
         限りなく横に広がり、繋がり続けていくことが私達の力です。


         たった今、隣りにいる人と、そっと手を繋いでみてください。
         見つめあいお互いの辛さを聞きあいましょう。
         涙と怒りを許しあいましょう。
         今繋いでいるその手の温もりを、日本中に、世界中に、広げていきましょう。 

         私達一人ひとりの背負っていかなければならない荷物が、途方もなく重く
         道のりがどんなに過酷であっても、目を逸らさずに支えあい、
         かろやかに、ほがらかに、生き延びていきましょう。


         ありがとうございました。



110922-1







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コメント

 

伝わりました。ありがとう。

 

しな

伝わってヨカッタ。こちらこそ、ありがとうね。

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大阪→サンフランシスコ→東京→札幌→東京、2008年秋から岩手→2013年春、第二の故郷へ

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